2006年11月12日 【ふるさと文化財】
白い帆をなびかせ 船たちが行き交った夢のあと

◆天竜川船着場◆
伊那市入船
信州を代表する河川として千曲川、木曽川と並び称される天竜川は、かつて辰野町平出から静岡県掛川市を結ぶ重要な水上輸送ルートであった。権兵衛街道と杖突(つえつき)街道(国道361号線)が三州街道(国道153号線)と交差する坂下地区は、天竜川通船の舟着き場として栄え、「入舟」の地名が当時の隆盛の名残りをいまに伝えている。慶長13年(1608)、角倉了以(すみのくらりょうい)が諏訪から遠州掛塚まで信州木材を運んだのが起源とされる。しかし陸上輸送の要、中馬業者からの妨害や難所急所が多かったことなどにより天竜川の通船として就航したのは遅く、文政13年(1830)から明治39年(1906)までの約80年間とされ、鉄道などの陸上輸送網の拡大により次第に衰退していった。東西の交易ルートとして江戸や大坂へ向けて木材や干し柿などの林産物が出荷され、東海地方からは塩、綿、干し魚などが入荷してきた。天竜川右岸、伊那大橋のたもとに天竜川舟着場跡の碑と船頭たちが信仰した水神の弁財天のほこらが祀られ、天竜川の恵みに支えられ発展してきた伊那市の歴史を静かに物語っている。












